導入事例 石炭火力発電の燃料運用最適化
この業務は熟練者しか出来ないだろうと
思っていました。
それが今では若手でも引き継げるように
なりました
この業務は熟練者しか出来ないだろうと思っていました。
それが今では若手でも引き継げるようになりました
関西電力株式会社

case

関西電力株式会社
(舞鶴発電所)

石炭火力発電所における燃料運用は、これまで、経験豊富な熟練技術者に依存したスケジューリングを行っており、人手でのスケジュールの最適化には限界があるという課題がありました。そこでALGO ARTISは、熟練技術者の経験・ノウハウ・現場の複雑な運用ルールをAI(アルゴリズム)に組み込み、運用コストを最小化させる最適化ソリューションを開発しました。当ソリューションを導入した背景やその成果について話を聞きました。

導入前の課題
  • 計画業務が、経験豊富な熟練技術者に依存していた
  • 熟練者が膨大な時間(一日4時間)をかけて策定していた
  • 計画の良し悪しを見える化し、評価することが出来ていなかった
導入後の効果
  • 属人化が解消し、非熟練者でも引き継げるようになった
  • 計画策定時間が大幅に短縮した(一日4時間からわずか30分に)
  • より先の見通しが立つようになった(計画時期が2週間から3か月に)
  • トラブル発生時などにも複数ケースを比較評価できるようになった

Interview

お客様の声

燃料運用計画最適化ソリューションを開発
複雑な計画を非熟練者でも短時間で策定可能に

燃料運用計画最適化ソリューションを開発
複雑な計画を非熟練者でも短時間で策定可能に

[お話を伺った方]
(左)  火力事業本部 火力開発部門 脱炭素技術グループ リーダー 小西貴也 様
DXや脱炭素といった新たな取り組みを中心に推進している。当ソリューションの導入にあたり本社側の推進リーダーをご担当されていた。
(右)  舞鶴発電所 発電課 運営係 杉江侑亮 様
主な業務内容は燃料管理。石炭の受入から払出の計画立案や、ユーティリティ設備の管理、トラブル対応を行っている。当ソリューションを日々現場で活用し、燃料運用計画を策定している。

デジタル化は根気がいる作業、
二人三脚でやっていけるパートナーとして
ALGO ARTISが一番適していると感じました

デジタル化は根気がいる作業、二人三脚でやっていけるパートナーとしてALGO ARTISが一番適していると感じました

火力事業本部 火力開発部門 脱炭素技術グループ リーダー 小西貴也 様
属人化が課題であった
小西様
導入当初は2018年くらい。DXが流行り始めた、もしくはまだ流行り始めていないくらいの時期だったと思います。ただ、我々関西電力の火力事業本部では、そういったDXをいち早く進めていこう、いろんな取り組みをしていこうと考えていました。
まずは発電所の業務において、どういった改善ができるのか、色々な発電所に問い合わせ、自分たちでアイデアを出していき、様々なDXメニューを200件以上抽出しました。その中でも、やはり燃料分野を改善することが、我々の会社としては費用対効果が大きいと考えていました。
検討を進める中で、舞鶴発電所の当時の役職者と話をした際に強く印象に残っていることがあります。それは、「燃料運用計画業務は現在の担当者1人しか出来ない業務であり、属人化していて引き継ぐこともなかなか難しい。さらに、考えられる範囲においては最適な計画であるものの、本当にそれが最適なのかは明確な判断基準がないため分からない。」という点でした。
二人三脚で進めていけるパートナーが必要だった
小西様
次にベンダーをどこにするか、という点ですが、その時代は実績のある会社はほとんどありませんでした。これまでの検討の中で、(燃料運用計画を)デジタル化するのは根気がいる作業だというのは分かっており、信頼できるパートナーが必要だと感じていました。また、人の技量によって大きく変わってくると感じていました。
色々な会社と話していく中で、ALGO ARTIS(当時のDeNA)が一番適していると感じ、まずは進めてみようということでアセスメントを開始しました。ALGO ARTISの特徴は、一緒に寄り添って二人三脚で開発が出来るところだと思います。この開発はキラキラしたものではなく、実際は泥臭い開発だと思っています。パートナーとして一緒になって良いものを開発していく、ということがきちんとできるところがALGO ARTISの良さだと感じています。アジャイル型で開発したものを、実際に試しながら進められるというのも良い点です。

アセスメントの段階で
自分達が思っていた以上の成果を出してくれたので
次に繋げることが出来ました

アセスメントの段階で自分達が思っていた以上の成果を出してくれたので、次に繋げることが出来ました

火力事業本部 火力開発部門 脱炭素技術グループ リーダー 小西貴也 様
アセスメント*1で想定以上の成果が生まれた
小西様
アセスメントの段階である程度の成果が出ないと先には進めないと思っていました。私自身も簡単なAI関連のプログラミングをかけるため、何かしらのアウトプットができるという感覚はあったのですが、どこまで上手くできるかについては自信がありませんでした。しかし、実際に自分達が思っていた以上の成果を出してくれたので、次に繋げることが出来ました。
*1) アセスメント=最初の技術検証
社内外に取り組みをアピール
小西様
アセスメントが終わってからは、一緒に外販も含めてこの取り組みを大きくしていくという宣言*2を、社内に対しても社外に対しても行いました。
完成系が見通せなければ、こういった形でプレスリリースを出すことはなかったと思いますが、想定以上の成果が得られたため、宣言した方が社内外に対してもアピールになるし、その後の導入プロセスが進めやすいと思いました。デジタル化を進めるといっても発電所側からはどういったものか分からないので、こういったプレスリリースを出したことで発電所の協力も得られやすくなったと感じます。

トラブル発生時に複数パターンの変更計画を作り、
最適な手段を選択できるという点が
非常に使いやすいです

トラブル発生時に複数パターンの変更計画を作り、最適な手段を選択できるという点が非常に使いやすいです

舞鶴発電所 発電課 運営係 杉江侑亮 様
臨機応変なシステムを構築
小西様
燃料運用計画業務はラストワンマイルの業務であり、一番色々なところからのしわ寄せが来る業務です。そのため、ガチガチのシステムを作ってもすぐに使い物にならなくなると思っていました。
実際にALGO ARTISに依頼した時も、強化学習、ディープラーニングといった見える化の難しい手法ではなく、従来からある手法でよいので、ユーザ側で臨機応変に修正できるようなシステムにしたいと伝えていました。
なぜ臨機応変さが大事かというと、外部要因が非常に多く、一生懸命計画を作っても、例えば1日船が遅れる、石炭の銘柄が変わる、といったことで計画がガラッと変わりますし、燃料運用自体も日々改善を行っているからです。
杉江様
その通りで、石炭を船から石炭サイロ、石炭サイロからボイラに送るまで非常に多くの設備があるため、設備にトラブルが発生したり、荒天により船が遅延するといった事象は日常茶飯事で、柔軟なシステムであることが必要不可欠です。トラブルが発生した時に、送炭繰りや石炭の銘柄変更が容易な複数パターンの計画をアウトプットすることができ、そのうえで最適な計画を選択できる、という点が非常に使いやすいと思っています。滞船を抑制することを優先するならこの計画、補修工程を優先するならこの計画というのが比較しやすく、意思決定が非常にしやすいです。
以前は最適化が図れているかどうかも分かりませんでしたが、可能性がある組み合わせを全て比較できるため、現在ではさらに緻密な計画が作れていると思います。

一定の石炭運用スキルを有していれば
容易に業務が行え
業務全体の効率化にも繋がっていくと感じています

一定の石炭運用スキルを有していれば容易に業務が行え、業務全体の効率化にも繋がっていくと感じています

舞鶴発電所 発電課 運営係 杉江侑亮 様
「1日4時間をかけて2週間分」が、「30分で3か月分」に
杉江様
基本は毎朝計画更新を行っています。3ヵ月分の計画策定に10分、編集に20分くらいで、全部で30分程度です。元々は熟練者が、4時間程度かけて2週間分作っていたので、相当な効率化が図れています。今考えると、このシステムを使わずに計画を一から作るというのは大変な労力がかかります。私がもしシステムを使わずに計画を作るとなれば、2日間くらいはかかるのではないかと思います。
課題であった熟練者のみでしか行えない業務を解消
杉江様
私は少し前までは別の業務を担当しており、今年の5月からこの業務に携わるようになりました。発電所で最も難しく花形と言われる石炭運用の業務に携わることになり、最初は私に務まるか不安でしたが大きなトラブルなく運用を続けられており、非常に使いやすいシステムだと感じています。
またALGO ARTISは、システムに対する不明点や疑問点についても聞きやすく、明確な回答もしてくれ、更にこちらの細かい要望にも対応して頂けるという点で非常に助かっています。このシステムで一番良いと思っている点は、今後、私が所属する発電課運営係のすべての係員が業務のローテーションをしながら、石炭運用スキルを習得しやすくなり業務全体の効率化にも繋がっていくと感じている点です。

このシステムを使うことで今ある運用を
よりよく変えていけるのではないかと考えています

このシステムを使うことで今ある運用を、よりよく変えていけるのではないかと考えています

火力事業本部 火力開発部門 脱炭素技術グループ リーダー 小西貴也 様
今後の展望
小西様
このシステムは導入したら終わりではなくて、色々な使い方ができるからこそ、使い方次第ではよりよい運用もできると思いますし、新たな気づきも得られると思っています。実際に、今まで出来なかった複数ケースでの比較といった新しい運用の形が出来ているのかと思っています。
色々な人が使うと、見え方が変わり、また改善ポイントが出てくると思います。デジタルの効果+運用改善の効果というところに繋げていければと思っています。また、こういった取り組みを他の領域にも拡大していきたいと考えております。
資料提供 : 関西電力株式会社
※ページ上の内容は2022年12月時点の情報です。

導入事例

Contact us
お問い合わせ
各種お問い合わせはコンタクトフォームより随時受け付けています。
お気軽にお声がけください。
課題が具体的でなかったり、漠然とした相談であっても構いません。課題の具体化やプロジェクトの進め方、その他ざっくばらんなご相談も含め、開発を開始するまで無償で対応させていただきます。その中で両者で議論を重ねることで的確な実施判断や、ご提案内容の具体化を進めることができます。
Contact
Arrow