導入事例 化学マルチユースプラントの生産計画高度化
「この人に聞かないと分からない」を解消し、誰でも精度の高い計画策定が可能に。
お客様の急な要望にも迅速対応できる環境ができた。
「この人に聞かないと分からない」を解消し、
誰でも精度の高い計画策定が可能に。
お客様の急な要望にも迅速対応できる環境ができた。
本州化学工業株式会社

Story

本州化学工業株式会社

本州化学工業株式会社は情報・通信・自動車などの分野を中心に、ファインケミカルを製造する化学メーカーです。一つのラインで複数製品を製造するマルチユースプラントにより多様なニーズに応えてきた同社では、品目切り替えに伴う洗浄計画や人員配置の調整など、複雑な生産計画業務が課題となっていました。

そこで本州化学工業では、ALGO ARTIS が提供する生産計画スケジューラ「Planium(プラニウム)」の導入を推進。現場との密な連携を経て2025年1月から本格運用を開始し、業務の効率化と標準化に取り組んでいます。これまでどこに課題を感じていたのか、Planiumで何が変わったのか。導入の背景や導入後の変化について、担当者に聞きました。

Interview

お客様の声
Interview

一つのラインで複数製品を製造、マルチユースプラント特有の難しさ

コスモ石油
[お話を伺った方]
本州化学工業株式会社
機能材料事業部 電材部 課長職 永吉貫吾様
和歌山工場 製造部 開発製造課課長 守田如志様
――まずは、本州化学工業さんにおける生産計画業務の概要について教えてください。
永吉様
弊社は情報・通信や自動車などの分野を中心としたお客様向けにファインケミカルを製造しています。例えば半導体製造には欠かせないフォトレジストの材料となる製品がその一例です。

私たちの1つの特徴は「マルチユースプラント」と呼ばれる製造を採っていること。一つのラインで複数の製品を手がけることで、お客様の多様なニーズにお応えできるのです。

お客様への出荷日を確定する為に生産計画を毎月立てておりますが、特にマルチユースプラントにおいては、限られたリソースを製造ラインごとに最適に配分し、安定した供給体制を維持することが求められます。
――「マルチユースプラント製造ならではの難しさ」がありそうですね。
永吉様
複数の製品を作る場合、複雑な生産条件をクリアして計画を作成しなければなりません。

加えて、お客様からの要望が日々変わる中で、それに合わせて最適な計画をタイムリーかつ柔軟に作成しなければなりません。そのような日々の変更への対応が計画策定の難易度を上げていたものと思います。
コスモ石油

品目ごとの手入力作業にかかる膨大な時間が課題に

――従来はどのような方法で生産計画を策定されていたのでしょうか。
永吉様
もともと手作業で作っていました。ヒアリングしたお客様の要望を基に計画を策定し、製造現場に確認してもらうという流れです。必要な情報は各担当者が社内外の関係者から収集することになるため、基本的に個々人が独立して作業を進め、必要に応じて相談するというやり方でした。
守田様
1日ごとに、「この日はこの製品を製造する」「この設備を使用する」といった情報を丁寧に入力していきます。設備の利用状況や化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)に基づく年間生産量の上限などもその都度確認しながら、問題なく製造できる計画を考える必要があるため、時間がかかっていたのです。
――特にどのような点に課題感を持たれていたのでしょう。
永吉様
大きく3つの観点で課題を感じていました。一つ目は手作業による入力と社内外の関係者間の調整の負荷の高さ、二つ目は生産に関わる情報の属人化、三つ目は計画の確認や承認プロセスにかかる時間です。守田が言うように品目ごとに一つずつ手作業で入力していたため、それだけでも相当な時間がかかっていました。
守田様
計画を作る段階もそうですが、作った後の確認や承認プロセスにも改善できる余地がありました。全事業部への確認依頼や化審法などの法的チェックは専門部署にメールで依頼するのですが、このやりとりに手間や時間がかかることも多く、迅速な意思決定、承認、実行が難しい状況でした。

同じような課題意識はプラント間の連携においても持っていました。例えば、Aプラントで製造した製品をBプラントで原料として使用する計画を立てた場合、Aプラントの日程変更に伴ってBプラントとの整合性が取れなくなり、製造開始時に原料が準備できていないという事態が起きたこともあります。
永吉様
年間の生産数量が化審法で認められている数量を超過しないかチェックする必要があるのですが、お客様の要望に合わせて生産計画を見直していくと、年度のまたがりの部分で同数量を超える可能性が出る時もあり、許可枠内に収めるべく調整しなくてはなりません。そういった細かな調整や計画の修正にも時間を要していました。
――生産に関わる情報の属人化というお話もありました。
守田様
計画を作る際には各品目の生産諸条件を把握しておく必要があります。例えば品目ごとにどれくらいの洗浄時間がかかるのかを知らなければ、複数の製品を組み合わせた最適な計画が組めない。このような前提条件に対する理解度は、どうしても担当者の経験や知識に依存する部分があります。

そのため、結果的に業務が属人化してしまいやすく、標準化が難しかったのです。

決め手は柔軟性の高さと優れたUX

――そのような課題の解決策として、生産計画スケジューラのようなソリューションを検討されたわけですね。「Planium」の導入を決められた経緯を教えてください。
永吉様
ALGO ARTISを知ったのは三井物産様からのご紹介がきっかけです。弊社としては業務に合わせて柔軟にカスタマイズできるか、データを活用して既存業務の効率化が図れるかといった点を重視していました。

多くのクラウドサービスでは定型的なシステムを共通で利用するように設計されているため、カスタマイズに大幅なコストがかかることを懸念していましたが、その点、Planiumは汎用型のクラウドサービスでありながら、業務に応じて様々な使い方ができる柔軟さや自由度が魅力でした。そのため導入までのスピード感やコスト面でも現実的で、既存システムとの連携も視野に入れた設計になっていると感じました。

加えて、すでに化学業界での導入実績があること、そして他のツールと比較しても操作性・画面設計においてユーザー体験(UX)が非常に優れていると感じられたことも導入を後押しする要因となりました。
――「UX」についてはどのような点に使いやすさを感じたのでしょう。
永吉様
説明をされなくても使えるような形になっている、というのがすごく良かったです。例えばスマートフォンは説明書がなくても、なんとなく使えてしまう人が多いと思います。同じような意味でPlaniumは使いやすいUXになっていると感じました。細かな色使いなども含めた見やすさが工夫されていて、入力項目も複雑すぎないようになっていました。
守田様
これは後日談になるのですが、ベータ版をトライアルで利用した際も、私から現場のスタッフに対してのスケジューラの使い方は簡単な説明をするだけで理解してもらえました。直感的に利用できるUI(ユーザーインターフェース)を有していたことに加え、ユーザー目線のヘルプページも用意されていたため、スタッフが自ら操作方法を習得し、スムーズに活用することができたのだと思います。
コスモ石油

粘り強い改良で「圧倒的に早い」を実感

――守田様からトライアルのお話もしてくださいましたが、導入プロジェクトは決して簡単ではなかったと伺っています。
永吉様
弊社にとってもこのようなシステムの導入が初めてだったため、経営陣や工場の担当者を含め、社内関係者の理解を得る過程では苦労がありました。コストに対してどのような成果を見込めるのか、業務が効率化されることで何ができるようになるのか。経営と工場の両者に対して、丁寧に説明していく必要がありました。

特に工場の担当者は、事業部側や営業側が求めるシステムを入れた結果、工場側の負担がどんどん増えてしまわないかを懸念していて、私もそれだけは避けたいと考えていました。

そのためには工場側のニーズを把握してシステムに反映するなど、現場と一体となった開発・導入が不可欠です。私自身も1ヶ月ほど和歌山に滞在し、関係者と何度もコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めていきました。
――現場のニーズをPlaniumに反映するといった観点では、どのように進められたのでしょう。
守田様
実運用とのギャップを埋めるために、ベータ版を試用しながらALGO ARTISの方々も交えた打ち合わせを定期的に実施し、その中でアイデアを出し合いました。

実は最初の反応はあまり良くありませんでした。今までのやり方に慣れているということに加え、カスタマイズが不十分だったこともあり、なかなかログインしてもらえない状態でした。ただ私たちからのフィードバックにALGO ARTISさんは一つひとつ粘り強く対応され、使い勝手が改良されていく中で、状況が変わっていきました。

決定的だったのは、同じ作業を従来の方法とPlaniumで並行して試した時、Planiumの方が圧倒的に早く完了したことでした。現場のメンバーも効果を実感し、「今日のPlaniumはどうなっているかな」と自然とログインして、生産計画を確かめるようになりました。
コスモ石油

工数の大幅半減と属人化の解消を同時実現

――2025年の1月より、正式版の活用がスタートしました。現在はどのように活用されていますか。
永吉様
特に急な要望変更の際に計画を即座にシミュレーションするなど、日々の生産計画の修正に活用しています。営業担当者がお客様のところへ伺うと、本当にいろいろなお話をいただいてきます。最近でも「実はこれが欲しい」と言われて、数年間製造していなかったものを作るということがありました。

そのような際にも、Planiumを使えば現在の計画を踏まえて実現可能なスケジュールが自動で生成されます。この計画であれば問題なく対応できるといったことをすぐに相談できるので、すごく助かっています。
――導入前の課題として挙げられていた点について、具体的な変化は感じられていますか?
守田様
Planiumを導入した効果は非常に大きいと感じています。従来の方法では、生産計画の作成だけでもかなりの時間を費やしていました。ですが、Planiumを利用することで3分の2〜半分程度に削減できたと感じています。

品目ごとに手作業で計算・調整していたことが自動化され、属人的な作業がなくなりました。これにより作業効率が大幅に向上したことに加え、計算ミスのリスクも減りました。

同様に生産計画の確認・承認がシステム上からできるようになったことで、手動で行っていたやり取りが不要になり、業務負担の軽減につながっています。
永吉様
生産計画の変更や販売計画について、事業部と製造部とのコミュニケーションが密になりました。Planiumを見れば最新の計画が常に共有されているので、各担当者がそれを見ながら直接細かい相談ができます。これによりお客様のニーズに迅速に応えられる環境になったと感じています。
守田様
製造側としても「(事業部側が)何か新しい計画を作っている、考えている」と読み取れるようになると、それがコミュニケーションを取るきっかけにもなるので、そのような変化はあったと思います。
――システムの導入によって標準化を図りたいというお話もあったかと思います。この観点ではいかがでしょうか。
守田様
各品目の洗浄ルールや必要日数、組み合わせパターンなど、これまで個人の頭の中にあった知識がPlaniumに組み込まれました。原料を準備しなければならないタイミングなども自動で計算されるので、経験に関係なく、精度の高い生産計画が出てくるようになったと感じています。
コスモ石油

生産計画の最適化を通じて、お客様の期待に応えられる会社であり続けたい

――今後さらに期待している効果があれば教えてください。
永吉様
自動ドラフト機能もマスタの設定を改善することでさらに精度を上げていきたいと考えていますし、今後は化審法対応機能もより本格的に活用していきたいと思います。

また現時点では活用できていないのですが、注目しているのはCO2排出量評価機能です。特に欧州の企業などは環境負荷を配慮していることを重要視されているところも多いので、こうした機能を活かすことが今後の商談において武器になりえると考えています。
守田様
Planiumという共通のプラットフォームによって工場の声が計画に反映されやすくなったというのは、正直予想していませんでした。以前は正式な計画が出るまでなかなか動けなかったのが、今ではPlaniumを見てコミュニケーションを取り、実現可能性の高い計画を早い段階から検討できるようになりました。このような変化は今後さらに期待しているところです。
――最後に、同じような課題を抱える計画担当者の方へメッセージをお願いします。
永吉様
本日お話ししていて改めて感じたのですが、これまでは「これは◯◯さんに聞かないとわからない」といったことがどうしても発生していました。その属人的な部分が解消されてきている点、そしてコミュニケーションが活発化したという点で大きな変化を実感しています。

システムの導入においては、まず定量的な効果やコストが評価されると思いますが、それ以外の定性的な部分も非常に重要だと感じるプロジェクトになりました。
もちろん改善に終わりはないので、今後も生産計画の最適化を通じてお客様の期待に応えられる会社であり続けたいと思っています。
資料提供 : 本州化学工業株式会社
※ページ上の内容は2025年9月時点の情報です。

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